マルセイユ石鹸にはどんな成分が含まれているの?
Jul 15, 2025
100年以上の歴史を持つ**マルセイユ石鹸(Savon de Marseille)**は、フランス南部で生まれた伝統的な石鹸です。そのシンプルでナチュラルな配合は、今日までほとんど変わることなく受け継がれています。
ここでは、 マルセイユ石鹸の成分と、その製法に込められたこだわりをご紹介します。
ルイ14世の時代に定められた伝統製法
マルセイユでの石鹸製造は中世から行われており、17世紀には法律で規定されるようになりました。1688年、国務長官ジャン=バティスト・コルベールが公布した**「コルベール勅令」では、すべての石鹸工場において動物性脂肪の使用を禁止**しています。
その中で、マルセイユ石鹸に使用できる4つの原料が明記されました:
1.純粋なオリーブオイル
2.植物性または鉱物性のソーダ(苛性ソーダ)
3.水
4.塩
勅令第3条では違反者に厳しい罰則を定めており、
「石鹸製造においては、灰汁、ソーダ、灰とともにいかなる脂肪、バター、その他の物質も使用してはならない。ただし純粋なオリーブオイルのみを使用し、脂肪を混ぜることを禁ずる。違反した場合は製品を没収する。」
とされています。
ルイ14世の時代から、マルセイユ石鹸の基本構成はほとんど変わらず、フランスの経済・政治の変遷を映してきました。
・ナポレオン1世の時代:
スペインからの天然ソーダ供給が途絶えたため、人工ソーダ(化学的に合成されたもの)が使用されるようになりました。
・19世紀以降:
アフリカや中東との海上貿易により、オリーブ油の代替や補完として、パーム油・ピーナッツ油・ココナッツ油・ゴマ油などが使用されるようになり、マルセイユの石鹸産業と海運業の繁栄を支えました。
厳格な製造工程
本物のマルセイユ石鹸は、「マルセイユ製法」と呼ばれる特別な**釜焚き製(saponification au chaudron)**で作られます。マルセイユ石鹸専門家組合(UPSM)が定める基準を満たすためには、次の3つの条件を守る必要があります。
1.「マルセイユ製法」と呼ばれる特別な釜焚き(熱によるけん化・熟成)で製造すること
2.ブーシュ=デュ=ローヌ県(マルセイユがある地域)で製造されていること
3.原料はすべて植物性であり(油分72%以上)、香料・着色料・保存料・動物性脂肪・添加物を一切使用しないこと
ラ・コルベット(La Corvette)を運営するサボネリー・デュ・ミディでは、この伝統を受け継ぐ職人たちが、天然成分のみを使い、釜焚き製法でマルセイユ石鹸を作っています。そのため、原料は植物油・ソーダ・水・塩のみ。着色料・保存料・香料・添加物は一切使用していません。
では、なぜ石鹸の色が異なるのでしょうか?
それは使用している植物油の種類による自然な色の違いです。
たとえば、緑がかった石鹸はオリーブオイルを多く含んでいます。
自然由来の成分がもたらす多くの働き
着色料や香料、保存料、添加物を使わないため、アレルギーや肌荒れのリスクが低く、すべての肌タイプに適しています。身体・顔・髪・手など、毎日安心して使える万能石鹸です。マルセイユ石鹸のpHはおよそ10(アルカリ性)で、皮脂や汚れをしっかり落とし、穏やかな角質ケア(スクラブ効果)も期待できます。また、動物性原料を使わないことは、ヴィーガン志向の人々にも支持されています。
多彩な使い道
マルセイユ石鹸は、日常のさまざまな場面で活躍します。
・スキンケアやボディケアに
顔・体・髪・手の洗浄に。低刺激で赤ちゃんや敏感肌にもおすすめ。
メイク落としの代わりに使うこともできます。
・ハンドソープやデンタルケアに
抗菌作用があり、手洗いに最適。
細かく削った石鹸に精油を数滴加え、歯磨き代わりに使う人もいます。
・掃除や洗濯にも
布や衣類のシミ取りに使えます。
数時間おいてから洗濯機で洗うと効果的。
また、石鹸を削ってお湯に溶かせば、床・シンク・洗面台・トイレ・浴槽などに使える万能クリーナーになります。
ラ・コルベットの マルセイユ石鹸
ラ・コルベット(La Corvette)のマルセイユ石鹸は、何世紀にもわたる伝統を守りながら、現代の暮らしにもやさしく寄り添う、自然で誠実な製品です。