マルセイユ石鹸の製造工程
伝統製法が守る、マルセイユ石鹸のものづくり
伝統的なマルセイユ石鹸(Savon de Marseille)は、着色料・香料・保存料を一切使用せず、植物油のみを原料として作られます。大きな釜で、植物油に苛性ソーダを加えながら加熱し、ゆっくりと時間をかけて石鹸へと変化させていきます。この製法には、何世紀にもわたり受け継がれてきた熟練の石鹸職人(Maître Savonnier)の技術と経験が欠かせません。
彼らは「マルセイユ製法(Procédé Marseillais)」と呼ばれる伝統の5つの工程を厳格に守り、その品質と純粋さを保証しています。

5つの重要なマルセイユステップ
STEP1 : けん化(L'EMPATAGE)
釜に植物油を中温で加熱しながら順に投入し、苛性ソーダ水溶液を加えます。
全体を沸騰させると混合物は乳化し、石鹸化が始まります。
STEP2 : 塩析(LE RELARGAGE)
石鹸は塩水に溶けにくいため、海塩を加えることで余分な苛性ソーダを釜の底に沈殿させます。
この工程により、石鹸は一部の水分と分離し、より純粋な状態になります。
STEP3 :煮込み(LA CUISSON)
数日間にわたってゆっくりと加熱し、植物油が完全に石鹸へと変化します。
この工程がマルセイユ石鹸の品質を決める、最も重要な「けん化反応」です。
STEP4 : 洗浄(LE LAVAGE)
石鹸のペーストを何度も洗浄し、グリセリン・不純物・未反応の脂肪酸を取り除きます。
この繰り返しにより、石鹸はより純粋でなめらかな仕上がりになります。
STEP5 : 精製(LA LIQUIDATION)
最後に軟水を加えて石鹸の結晶構造を均一化し、なめらかなテクスチャへと整えます。
これにより、「エクストラピュア」な石鹸が完成します。
現代の製法と職人技の融合
かつては「枠練り製法」で、釜から上げた石鹸を木枠に流し込み、自然乾燥させていました。現在では、生産効率と品質を両立するために、石鹸素地を乾燥・脱水してチップ状に成形し、これを練り合わせてバー状に押し出す「機械練り製法」を採用しています。
その後、製品のサイズに合わせてカット・刻印を施し、乾燥・包装へ。
厳しい品質チェックを経て梱包された石鹸は、約1か月半の旅を経て日本へ届けられます。
La Corvetteの石鹸づくりは、伝統と現代技術の調和によって支えられています。
その一つひとつに、職人たちの誇りと“本物”へのこだわりが息づいています。

